『個人目標の書き方がわからない』
『どうやって書けばいいの?』
『個人目標を考えて書くの面倒くさい』
今回は、そのような介護士のみなさんのために、介護士経験のある私が「介護職の自己評価シートの書き方とコツ」について解説します。
それでは物足りないので、さらに個人目標を作成するための具体例(テンプレート)も紹介しています。
読んでいただければ、忙しい介護士さんも個人目標をサクッと作成できるとおもいます。
ではどうぞ。
【介護職】自己評価シートの個人目標の書き方【3つのコツ】
では、個人目標の書き方について、3つのコツを特養の介護士の例で説明していきます。
【個人目標のコツ1】自分の勤務の実態をつかむ
個人目標を立てる際のコツとして、まず『日々の自分の勤務を鑑みる』ことです。
例えば、
- 「担当の利用者様は30名だ。」
- 「食事・入浴・排泄介助は毎日行っているけれど、自分は入浴介助が苦手だな。」
- 「早出・日勤・遅出の中で日勤の動き方が今一歩だなあ。」
- 「同期の1人はもう夜勤を始めている。自分が夜勤を始めるには排泄介助を早く確実にする必要がある。」
などです。
さらに、施設での直近での利用者さんの変化も考慮します。
- 「最近、各利用者様の要介護度が上がっているな。」
- 「徘徊・転倒のケースがあるな。」
という感じです。
【個人目標のコツ2】会社やフロア主任の方針に従う
個人目標を立てるコツとして、ここが最も重要になります。
自己の評価シートであるのですが、会社という組織の中でフロア主任の管理下で働いているわけです。
したがって、その意向に背くシートは、自己中心的で会社のことを考えていないと評価される危険性が高まります。
しかし、会社やフロア主任に、すべてに従順になるということではありません。
自分の経験からアドバイスできることは、自分の信念を持ち続けて働くことは重要ですが、
結局、利用者様や会社のために働いているわけで、会社が示している理念やフロアが掲げる目標を根拠に、自分ができることを考えて記述することが最も適切であると思います。
どうしても、フロア主任の意向に納得できない部分がある時には、改善策を1つだけ提案する形で個人目標として設定する程度にとどめておくようにしましょう。
【個人目標のコツ3】数値目標と利用者の望ましい姿やその手立ての記述
フロア主任からは数値目標をしっかり入れるように言われることが多いですが 、数値目標は入れられる箇所だけは入れて、利用者さんの望ましい姿やその手立てを記述していけば良いと思います。
フロア主任の評価を意識しすぎて、達成困難な数値を設定するようになりがちですが、この辺は他の同僚にアドバイスを求めてみましょう。
少し頑張れば達成できそうな数値目標にすべきです。
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【介護職】自己評価シート【個人目標の具体例】
個人目標の書き方を紹介しましが、いかがでしたでしょうか?
すべて理解するのは難しいとおもうので、続いては自己評価シートの個人目標の具体例(テンプレート)を紹介します。
なお、個人目標を書いた後に対策を記入する際、対応策は3つ以上は考えるようにすると良いです。
今回、紹介する個人目標の具体例に対する対策は3つ以上書いていない項目もありますが、ご了承ください。
【個人目標の具体例1】利用者様に落ち着きを取り戻していただく
【対策1】A様が居室からそわそわと出て行かれた時には、穏やかにそばに寄り添いつつ、「何かご用はありませんか。」と声をかけて、落ち着き、安心していただくまで、じっくりと話を伺うようにする。
【対策2】以後、2・3日は必ず訪室して様子を確認する。
【個人目標の具体例2】排泄介助の際には、介助の前後に必ず傷があるかどうか確認する
【対策1】傷を発見したら1時間以内に連絡ノートに記入し、看護師に処置をしてもらうようにする。
【対策2】排泄介助や移乗介助の時には、シャツがズボンの中に入っているか、衣服の乱れはないかを、介助終了時に必ず確認する。
【対策3】ヒヤリハット報告書は、3日以内に必ず作成する。
【個人目標の具体例3】入浴介助で2人介助での移乗の時には利用者様に必ず声かけを行ってから行う
【対策1】ペアの職員とも声をかけあい、利用者様が滑ることがないように、入浴用の椅子に座りきるまで最後まで支えるようにする。
【個人目標の具体例4】食事介助の際には各利用者さんに「はい、どうぞ。」以外の声かけを2回以上は必ず行う
【対策1】利用者様が飲み込む動作を確認してから、次の一口分を口元に運ぶ。
【対策2】むせが見られたら直ちに介助を中断する。
【個人目標の具体例5】見守りの時には、必ず部署の全体が見える位置から行う
【対策1】利用者様同士が仲良く過ごせるように適切に声かけをする。
特に、担当利用者様が寂しそうになさっている場合には、積極的に話しかけるようにする。
上記以外の個人目標の具体例
上記の個人目標の具体例を参考にしてみてください。
下記では個人目標の具体例だけを簡単に紹介しています。
【個人目標】1人夜勤の時、居室で大きな物音がした場合には、周囲の安全を確保しながら、2分以内に訪室し、状況を確認する。
【個人目標】トイレ誘導の前には、床が滑りやすくなっていないかを確かめておく。誘導時には、便器に座るまで確実に介助する。
【個人目標】他のフロアの職員とも連携しながら、他のフロアの利用者様のより良い介助の手立てについて週に1回は情報交換を行う。
【個人目標】車椅子への1人移乗の時には、腰を落として利用者様を確実に抱え、車椅子の金具や足置きに当たらないように介助する。
【個人目標】更衣の際には、利用者様に必ず声をかけながら行う。その際には、体に傷がないかを確認し、必要に応じて薬を塗布する。
【個人目標】看護師と緊密に連携し、介助の際に気づいたことを日に1回は報告する。
【個人目標】掲示物の作成を月1度は必ず行い、季節の移り変わりを利用者様に感じてもらえるように努める。
【個人目標】担当利用者の居室には、勤務の始めと終わりには必ず訪室し、利用者様に声をかけたり、環境整備を行ったりすることで、担当利用者様の変化に気づくことができるようにする。
そして、ご家族の方が来所された時には積極的にその状況を伝えるようにする。
個人目標について例文を紹介しましたが、自分の勤務の実態に合わせてアレンジしてみてください。
どんな視点で個人目標を書いたらよいか、それでも困ってしまった場合には相談できる先輩に尋ねてみましょう。
1人に聞けば2つぐらいの視点でヒントがもらえることでしょう。
2・3人に尋ねれば、5つ程度の個人目標は何とか立てられると思います。
また、介助の内容(食事・入浴・おむつ交換・移乗・トイレ誘導など)で各1つ個人目標を立てると、もう5つできます。
また、介助に注意点が多い特定の利用者様について目標を立てるのも良いと思います。
それでも個人目標が思いつかない場合
これとは別に私がよくやっていたオススメの方法があります。
それは、利用者様に直接尋ねてみるのです。
何か言ってくださいますよ。
例えば、
「あなたにおむつ交換してもらうと股が擦り切れそうになる。」
と言っていただいた場合であれば、
「おむつ交換では、きつすぎず、便がもれずに鼠径部に擦り傷ができない程度におむつを当てるようにする。」
というように、それを改善するように個人目標を立てれば良いのです。
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【介護職】自己評価シートの個人目標の書き方で評価される
上記のような個人目標を5つ程度書き込んだ自己評価シートをもとにフロア主任と面談することになります。
書いた自己評価シートをフロア主任に説明し、内容についてフロア主任から意見や要望を聞くことになります。
その時に会社やフロア主任の意向と大幅に違った場合には書き直しになってしまいます。
(前述のように会社やフロア主任の意向に配慮して作成していれば大丈夫です。)
自己評価シートをフロア主任に受け取ってもらえたら、無事完成です。
自己評価シートは給与査定に使われる
一般例で説明します。
年度当初に自分の職務で何を重点的に取り組むのかを書いて、フロア主任と30分程度の面談を行います。
半年職務を行った後、期末(おそらくボーナスより少し前)にその反省・自己評価を書き加え、再びフロア主任との面談を行います。
年度前半のフロア主任による評価や後半に向けてのアドバイスをもらいます。
年度末にも同様に反省・自己評価を基にフロア主任との面談を行い、フロア主任は1年間の総括評価を行います。
実は、この自己評価シートは、給与査定(昇給額など)に関係しています。
介護士の昇給額は2000円~4000円程度です。一般的には2000円程度ですが、これが3000円になることは十分に考えられます。
給与は多い方がいいのには違いありませんね。
そのためにも、個人目標をしっかりと立てることが、フロア主任から良い評価をもらうきっかけになるのです。
最後にアドバイス
当然ですが、利用者さんの立場で介助を進める・勤務することが基本です。
その結果、利用者さんから良い評価をいただくことにつながり、それが、フロア主任の耳に入ることになります。
そして、勤務評価がアップするわけです。
日々の勤務をしっかりがんばることが重要ですよ。(当たり前ですね。)
新人介護士なのですから、失敗をおそれる必要はありません。
自己評価シートの作成で最も気をつける点は、
「利用者様の望ましい姿やその手立てを記述していくこと。」
これだけです。
このような視点で勤務し続けることで優れた介護士に必ずなっていくはずです。
もし、フロア主任からいろいろと注文をつけられても、素直に受け入れ、次回の自己評価シートに活かすようにすればいいのですよ。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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